役立つペットコラム

【犬の腎不全】点滴の日々と食欲不振からの24日間

アトリエに暮らすゴールデンレトリーバーのキナの闘病記録を書いてきました。

いろんな病気と闘ってきたキナですが、食欲がパッタリと無くなり体調を崩して、いよいよ余命宣告をされてしまいました。

愛犬が腎不全にならないように気を付けていた対策

思い返してみると、腎不全の末期にの数値なる前からゴールデンレトリーバーのキナは、腎臓の値が高い傾向にありました。

腎数値が悪くなると、薬や手術を受けさせることが難しい判断になってくることもあることを知っていたので、腎臓に負担が無いようなサプリメントや食事は常日頃から意識して与えるようにしていました。

 

https://fukufukuyama-petsougi.com/thankyou-kina

腎不全による愛犬の容態急変

ある日、食べることが何よりの楽しみでなんでも食べていたキナが、食べ物の匂いを嗅いではプイと口にしません。大好きなヨーグルトもアイスクリームもお野菜も食べません。むしろ口にしたものを吐いてしまいます。
 
これは一大事と私は急いで実家に帰り、翌朝には両親と一緒にかかりつけの獣医さんのところへ行きました。
 
そこで見て驚いたのは腎数値でした。
 
BUNが140オーバーで測定不可能 (正常が9.2〜29.2)
CREが16.8(正常が0.4〜1.4)
 
以前、腎数値が高めだとわかった時に先生に「正常値の範囲はわかりましたが、これを超えてMAXでどのくらいまで数値は上がるものですか?」と伺ったことがありました。
 
先生は「かなり悪くて13とか14とか・・・でもその時にはもう生きていない数値です」
 
と教えていただいたことを思い出しました。
 
先生には「キナちゃん今日、駐車場から歩いてここまで来たのですか? 普通なら歩けてるのが不思議な数値ですよ。いつ倒れてもおかしくないですよ。」
 
そして「持って数日と思っていてください。」とお話がありました。

抗がん剤を休止後、束の間の穏やかな時間

 

犬の腎不全と余命宣告「もって数日・・・」

食欲が無い異常事態からすぐに動物病院へ連れて行き、リンパ腫の再発かと心配が頭の中をグルグルと巡る中、検査の結果は末期の腎不全であることが分かりました。

獣医師の話では、
「おそらく、もって数日でしょう。ここから積極的治療をしても予後が悪いので、自宅で脱水症状を防ぐための補液の皮下点滴をしながら最期を過ごさせるのがいいのではないかと思う数値です。」
 
との話でした。先生が皮下注射の準備をしているほんのわずかな間でしたが、私と両親で相談をして、キナの最期は急変にも対応できるように、かかりつけ医も近い仙台のアトリエで迎えさせようということになりました。
 
「もって数日って、先生の経験則では実際どれくらいですか?」
 
皮下注射のレクチャーを受けた後、先生を呼び止めて質問をしてしまいました。今思えば野暮な質問だったなと思います。それぞれの子の状態によって結果は様々なのですから・・・でも、聞かずにはいられませんでした。
 
その時にも先生は丁寧に、慎重に「数値上では1週間持たない数値ですが、キナちゃんがそれよりも頑張れるかどうかは誰にもわかりません。」と答えてくださいました。
 
家族でどう受け止めたらいいかと悩んでいる暇はありません。
 
キナがなるべく苦しくないように、最期まで「楽しい」と思えるように過ごさせたい一心で、私達はキナが快適に過ごせるような場所づくりをはじめました。

犬への皮下注射と点滴

腎不全が起こると尿がでなくなり、尿毒症になることもあるときいていたので、毎日おしっこをちゃんとしているか、またその色にも注意していました。ごはんは全くと言っていいほど食べなくなり、寝たきりの状態でたまに身体を起こしては水を少量飲むといった状態でした。

我が家の愛犬は腎不全末期と診断されてから、水を飲んでも必要量には満たない状態だったので、脱水症状で苦しまないようにと1日1Lの皮下点滴を朝晩の2回に分けて行っていました。自分たちの手で自宅で行うこともあって初めは躊躇もありましたが、獣医師にやり方を教わって毎日行ううちに上手になっていきました。量は多いとも感じましたが、尿が出なくなって体が浮腫んできたらやめようと毎日の様子を見ながら点滴を行いましたが、浮腫む様子もなく、点滴を行うと少し楽になるのか、日中はスヤスヤと眠ってくれていたので一定の効果はあったのかなと思います。

腎不全による食欲不振、食べなくなってから24日間

ずっと固形の食べ物を受け付けない日々が続く中で、ある日キナのお腹の音を聞いたスタッフの1人が、りんごのチュールとヤギミルクのチュールを上げてみたところ、1本の半分くらいをキナが食べてくれました。
 
みんなでとても喜んでいる中、別のスタッフが急いで同じものを買いに行ってくれました。
 
しかし、翌日も顔を起こした時に食べてもらおうとあげてみたのですが、その後は全く食べてくれません。
 
あの1回が、奇跡のエンジェルタイムだったのかもしれません。
 
実家の両親も毎朝早起きをしては仙台まで駆けつけて、キナに会える時間を大切にしてくれました。
両親が来ると、力を振り絞って一生懸命尻尾を振っていました。

愛犬が食べなくなってからの強制給餌

寝たきりになった大型犬、動物病院に行けるほど愛犬の体力が無いことはわかっていたので、訪問で来てくださる獣医さんに相談をすると電話の約2時間後には往診に来てくださいました。

愛犬の体調は依然として良く無いながらも、吐き気どめの注射や、免疫力の低下からできてしまったお腹の膿を直すための抗生物質の注射を処方してくださいました。
吐き気止めの飲み薬はもらっていたのですが、ほとんど効かず、飲み薬を飲ませても吐いてしまうことが悩みでした。注射は病院に行かないと打ってもらえないので訪問の獣医さんに来て注射を打ってもらえたのは助かりました。
 
また、吐き気どめが効いたら、少し栄養のあるものを口に入れるようにアドバイスもくださいました。
正直、愛犬本人が食べたくないと思っている状態での強制給餌には抵抗もありました。
強制給餌といっても、のどの奥にスポイトをいれて無理やり嚥下させるのではなく、流動食の入ったスポイトを奥歯にあてて舐めてもらうという方法で与えました。
もし本当に食べたくないのなら、顔をそむけて食べないはずですとその方法を獣医さんに教えてもらいました。
 
自力で飲むお水や経口補水液は飲ませていましたが、スポイトで大好きな桃の果汁やスイカの果汁を飲ませると受け入れてくれたので、キナの表情が和らぐ好きな果物の果汁を飲ませました。
(高栄養の流動食もあったのですが、喉越しが良くないのかあまり受け入れる度合いがよくありませんでした。)

【愛犬の腎不全末期】嘔吐や息が荒くなってからの緩和ケア

ふくふくやまのスタッフみんなにキナの状況を連絡すると、お休みのスタッフも駆けつけてキナと私達を励ましに来てくれました。キナはその度に顔を起こして、よく一緒に遊んでいたスタッフの息子さんがきてくれた時には自ら立ち上がって喜びました。
 
幸い、ふくふくやまには元看護師や動物看護師資格があるスタッフが多く、みんなが毎日の介護や皮下注射を手伝ってくれました。私が少し外してトイレに行っている間には誰かが必ずキナのそばについていてくれて、一人ぼっちになる時間を作らないでいられました。
 
楽な姿勢や呼吸がしやすい頭の角度、体に負担をかけないシーツの交換のしかたなど、みんなが経験や知識でキナの介護を支えてくれました。
 
綺麗な夕暮れの中を嬉しそうに歩くキナ

綺麗な夕暮れの中を嬉しそうに歩くキナ

夜になると特に、気持ちが悪くなるのか吐くことが多く、痰が絡んだ嘔吐をすることも増えたので、病院に連絡をして吐き気どめや痰切りのお薬をもらっては飲ませる対処療法が続きました。
 
もって数日と言われてからも、しばらくは大好きなお庭で自力で排泄もできて、ゆっくりゆっくりではありましたがお庭を楽しそうに歩いていました。
 
写真に写っている大きなネムの木の下に行った時には、風が気持ち良かったのかしっぽをゆらゆらと振っていました。
 
みんなでその様子を見守りながら、歩けていることに安堵しつつ「お庭を散歩できるのはこれが最後かもしれない」という思いもあり涙しながらキナを毎日たくさん褒めました。
 
スタッフのみんなは「キナちゃん今日もがんばったね、また明日ね」「また次の出勤日に会おうね」と約束をしてキナを励ましてから退勤する日々が続きました。

犬用の酸素吸入器を借りて

ずっと息が荒く呼吸が苦しそうで、自宅での酸素吸入器をレンタルでお借りして、少しでも身体が楽になれるよう環境を整えました。
 
「もしかしたら今日が最後かもしれない」という思いで過ごし続けた日々。
 
毎日毎日「キナ、大好き大好き。キナがたからもの。キナがお家に来てくれて幸せ。キナがいてくれて幸せ。」と言い聞かせ続けました。
 
でも、「ありがとう」と言ってしまったら遠くへ行ってしまいそうで、その一言はなかなか言い出せずにいました。
 
余命宣告を受けてしばらくは自力で立ったり排泄ができていましたが、見る見る体力がなくなって弱っていっているのが分かりました。ただ、キナの場合意識はかなりはっきりしていたので、意識があるうちに伝えることは伝えなければと思い、最期の数日はキナの耳元で「ありがとう」とたくさん言い続けました。
 

キナ、ありがとう。またね

6月の上旬に余命宣告をされてから24日、私は毎晩キナと頭を突き合わせながら眠り、その日も夜中まで苦しそうに息をするキナの頭を撫でていました。
 
そして、私がフッと寝落ちをしてしまったほんの一瞬のその時に、キナは息を引き取りました。まるで、ずっと気を張っていた私の寝顔を見てから旅立ったかのような最期でした。
 
12歳5ヶ月、もっと長く一緒にと欲を言ってしまったらキリがありませんが、大型犬としては高齢と言われる年齢まで、病気と付き合いながら本当によくがんばってくれました。
 
ありがとう、キナ。

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