先日、NPO法人ubdobe主催の、医療福祉従事者や学生、経営者などが所属や役職を超えて繋がっていくトークイベント「WellCON」に参加してきました。
ペット葬祭×福祉
これまで、仕事を通じて、たくさんのペットロスを抱えた人と向き合ってきました。
「一番かわいがっていた母のために・・・」と、ペットそっくりのお人形や仏具をご高齢の方へのプレゼントとしてご依頼くださるかたもいらっしゃいます。
福祉とは、広い意味で「幸せ」を指します。直接的に人々の福祉につながるとまではいきませんが、ペット葬祭の役割は、仏壇の前で、手を合わせることで、ペットを失った悲しみを和らげることができ、心を落ち着けて今後の日常を送るためのきっかけとなることができるのだと思います。
インターネットでの販売が主ではありますが、大変ありがたいことに、ふくふくやまには、商品をお届けした後に、お客様からメールや電話でご連絡をいただくことがよくございます。
ペットを亡くされて心痛まれていたお客様から、商品を受け取り、前向きな気持ちになれたという言葉を頂いたときは、この仕事を通して、一番やりがいを感じる時です。
近年は、ペットと一緒に入居できる介護施設が開設されたり、セラピーのための動物が福祉施設にいることもあります。
まだまだ、その数は少ないですが、ペットとともに生活することが自体が高齢者の方にとっても生きがいにも繋がっているようです。
トークイベントに参加させていただいたことで、ペット火葬×福祉を考えるきっかけになるストーリーがひとつありましたのでご紹介いたします。
訪問ペット火葬先での出来事
ペット火葬にて訪問した先の出来事です。
一番ペットを可愛がっていたのは、その家のおじいちゃんでした。
おはなしを聞くと、足が悪かったため、ペット火葬場まで一緒に行くことができず、
訪問ペット火葬をご依頼されたそうです。
お骨になったペットを見て、自分がそばで見送りが出来きて、本当に安心したとおっしゃっていました。
そして、何度も何度も、「ありがとうございました。ありがとうございました。」とおっしゃって下さいました。
高齢の方でペットと暮らされているも多いですが、
いざ、ペットが亡くなった際、どうしたらよいのか、
最期の見送りまで見届けてあげられるか
と、心配されているかたもいらっしゃいます。
高齢を理由にペットとの最期の別れに付き添うことを諦めてしまい、悔いが残ってしまった。
それがきっかけでペットロスになってしまったということもあります。
自分自身がペットとの別れを最期まで見届けてあげることは、心の整理をつける過程としてとても大切なことです。
辛い別れではありますが、ちゃんと供養をしてあげることができたという思いは、
ペットに対する悔恨の念や悲しみを和らげることにつながるのではないかと思っています。
ペットの訪問火葬もまだまだ知られていない現状がありますが、こうして必要として下さる方がいることを実感すると、とてもやりがいを感じます。
「高齢者の限界をこちらが決めないこと。」人の介護に学ぶ、高齢ペットとの接し方
トークゲストで来ていらした山﨑史香さんという方がお話してくださった内容で、印象的だった言葉があります。
「お年寄りのできることの限界を、どうせ聞こえないから、どうせ見えないから、どうせわからないからと、介護をするこちらが勝手に決めないことが大切。」
年を重ねていくと、若い頃より見聞きが不自由になることもたくさんあります。しかし、「見たい、やってみたい、聞いてみたい。」と思う気持ちは皆一緒です。
住みやすい環境、健康的な食事、健康な体、お金…それ以上に年を取ってからの生活で、一番大切なのは「○○してみたいという気持ち」とおっしゃっていました。
高齢者の方の心を元気にし、何かをしてみたいと思う気持ちになってもらえるよう、施設で毎日を暮らす高齢の方に向けて、家にいた時のような、まな板の上で野菜をトントンと切る音を聞いてもらうことや、季節にちなんだ香りをかいでもらったり、離れたご家族の声を録音して届けたりと、工夫をしていらっしゃるそうです。
また、「介護×アート」をテーマに寝たきりの高齢者がいつも見ている真っ白な天井を、桜の絵でいっぱいにして、家族で行ったお花見の楽しかった記憶を思い出してもらうというような、日々に喜びや楽しみを添える素晴らしい活動をしていらっしゃいます。
高齢ペットの好奇心をくすぐる工夫を
山崎さんがおっしゃっていたことは、命があるものすべてに当てはまること。
高齢化が進むペットにも同様に活かせることだと思います。
ペットの平均寿命が延び、犬や猫にとって生涯の約半分は「老齢期」と言われています。
そのぶん、目が見えなくなったり、耳が遠くなったり、鼻が利かなくなる状態での、老齢期の生活は長くなっているのも事実です。
見えないだろう、聞こえないだろうことを大前提に、安全や健康に配慮して、
「ケガをするといけないからここから出さないでおこう。」
「若いころこは、これが大好物だったけれど、歯が無いからもう食べさせないでおこう。」
などと行動を制限することも増えてくるとは思います。
しかし、ペットが日々を暮らす中で少しでも好奇心が芽生えていくように、
一緒に暮らす私たちが工夫をしていくことが、ペットの老齢期を幸せに過ごすためには大切なのだと思いました。