役立つペットコラム

ゴールデンレトリーバー犬のがん治療体験記:リンパ腫、肥満細胞腫

我が家では、愛犬ゴールデンレトリーバーの女の子・キナが暮らしていました。
 
人が大好きで、いつも頭の周りに音符マークがついているような機嫌の良い子で、家族やスタッフみんなの輪の真ん中にいる子でした。
 
ゴールデンレトリーバーは様々な病気に罹患しやすい犬種で、我が家の犬も例外なく本当にいろんな病気と闘ってきました。
 
子宮蓄膿症、肥満細胞種、リンパ腫、腎不全・・・その度に家族で「この子にとって一番良い選択は何か?」を考えて治療方針を選択してきました。
 
この記事では、東北で育った1頭のゴールデンレトリーバーの、がんと闘ってきた記録を残したいと思います。
お読みいただいた方が少しでも愛犬と共に健やかな毎日を送るために、この情報がお役に立てば幸いです。

犬の肥満細胞腫とは?

犬の肥満細胞腫は、犬の皮膚や内臓に発生する悪性の腫瘍です。

肥満細胞は、体内でヒスタミンを分泌する細胞で、アレルギー反応や炎症などの免疫機能に関与しています。肥満細胞腫は、この肥満細胞が異常増殖し、腫瘍化したものです。

肥満細胞腫は、皮膚にできやすい腫瘍で、悪性度の低いものから高いものまで様々です。

早期発見が重要なので、愛犬のふさふさな毛の上から毎日皮膚を触っていて、何となく膨らんでいるなと思ったら早めに細胞診検査をしてもらって悪性かどうかの判断を付けてもらっていました。

犬の肥満細胞腫は、特定の犬種や年齢に多く見られる傾向があり、ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバー、ボクサー、パグ、ボストン・テリアなどがかかりやすいとされています。

うちのゴールデンレトリーバーの愛犬“キナ”も7歳の時に初めて肥満細胞腫を発見しました。

愛犬ゴールデンレトリーバーの肥満細胞種(癌)の発症

ゴールデンレトリーバーのキナが7歳の頃、いつものように毛並みを撫でていると、左脇と肋骨の間のあたりに人差し指の爪大の出来物ができていることに気づきました。

毛は生えていなくて、周りの皮膚と同じ色をしたぽっこりとした出来物。

左脇にできた肥満細胞種

先代のゴールデンもよく皮膚には出来物ができており、その都度細胞診をしてもらっても「脂肪腫です(良性腫瘍)」と言われていました。

ただ今回のキナの出来物は今までとちょっと違う・・・という違和感を感じていました。

ドキドキしながら病院に行き細胞診をしてもらって、結果の電話を待ちました。

4日程経って病院から電話をいただき、「肥満細胞種」という癌であることが分かりました。

獣医師の診断では以下のような説明がありました。

・今の場所以外にもできてくる可能性があること

・内臓にも転移する可能性があること

・肥満細胞腫が周辺にも分布している可能性があるので、手術をするならマージン(余分に広く切除する部分)を取って大きく切らなければいけないこと

また肥満細胞腫の治療にあたっていくつかの治療の選択肢があることも教えてもらいました。

犬のがん治療の選択肢:外科手術、放射線療法、薬物療法

治療の選択肢として挙げてもらった選択肢は主に、外科手術、放射線治療、薬物療法の3つ。

結果的にキナは薬物療法(分子標的薬を用いた治療)をはじめに選びました。

犬のがん治療方法の特徴やデメリット

がん治療方法 特徴 メリット デメリット
外科手術 がん細胞を直接切除 転移前なら根治を目指せる 身体的負担が大きい
放射線治療 放射線を照射してがん細胞を局所的に破壊 局所的で体への負担は少ない 実施できる動物病院は限られる。病院が近くにないと通院は大変
薬物治療 化学療法/分子標的薬療法などの種類がある。内服や点滴でがん細胞をターゲットにした阻害、抑制を行う。 他の治療法との併用ができる 継続的な通院での投与が必要。がんが進行している場合、薬物治療のみでの根治は難しい。

がん治療方法の決定と経過

家族で何度も話し合い、脂肪細胞腫を外科手術で摘出したとしても、今後転移の可能性が十分あることや、キナの性格上入院が難しいだろうということから、まずは日帰りで薬物療法の投薬で治療をしていこうということになりました。

また、血液検査の結果、少し腎数値にも心配があったため手術での麻酔などの影響により腎数値が悪化して腎不全を起こす可能性もあるとのお話でした。

腫瘍に直接ステロイドの注射や、経口でステロイドの錠剤や免疫療法を助けるサプリメントから始め、分子標的薬も試しました。

キナはステロイドを体重に応じた量を投与すると肝臓の数値が悪くなってしまうことが分かり、基準よりも少ない量で肥満細胞種を抑えるという方法を取って行きました。

獣医師のセカンドオピニオン

ありがたいことに、通っている動物病院では診断と同時に他の動物病院のセカンドオピニオンの提案をしてくださいました。

手術や治療は今の病院でもできますが、獣医腫瘍科認定医1種の先生がいる病院で意見を聞いてからどの病院でどんな治療をするかを検討するのも飼い主さんが一番納得する形かもしれませんと、丁寧にお話してくださいました。

ご紹介いただいた病院に早速向かって診ていただき、手術や投薬、抗がん剤などの選択肢を出していただきました。

動物病院への通院は大変。引越しに伴って動物病院を転院

引越し後のアトリエでもリラックスのキナ

がん治療は動物病院への通院が毎週のように続きます。

病院が混んでいたりすることもあり毎回半日はかかると思って通っていました。

ちょうどそのころ、仙台市太白区から青葉区への引っ越しも重なり、肥満細胞種でかかっていた動物病院がかなり遠くなってしまうことと、投薬の量や種類がほぼ決まり容態も安定し始めてきていたのもあったため、より近い病院に転院することにしました。

新しい病院では改めて検査のやり直しにはなりましたが、前情報として今までの経過を前の獣医さんがかなり丁寧に資料をまとめていてくださり、そのお気持ちが本当に嬉しかったです。

 

がんの転移・断脚や断尾の可能性

数ヶ月が経過した頃、肥満細胞種は姿形と場所を変えて、後ろ足などにも現れ始めました。

新しい病院でも同じように、手術をするなら広くマージンを取って切ることは伺い、後ろ足にできた肥満細胞種を取ろうと思うと断脚になる。断脚になったら、キナの大きさと体重ではすぐに介護生活に入ると思いますと説明を受けました。

またその先生は「今見えている肥満細胞種はステロイドで抑えられているかもしれないけれど、抑えられていて目には見えていないものもある可能性は十分あります。手術をして今見えているところが治ったと思ってステロイドをやめたら、またポコポコと他のところに出てくることも考えられます。」と教えてくださり、キナの体質のことを鑑みてもやはり手術は避けることにしました。

アメリカで出てきた肥満細胞種の新薬もあることをネットでも調べたのですが、日本で認可されるまではまだまだ時間がかかって取り寄せるのは難しいようです。

それでも普段のキナは元気いっぱい食欲いっぱいで、毎日楽しく暮らすことができていました。ただ、肥満細胞種は痒みも伴うようで、痒くて噛んだり引っ掻いたりすることで細胞が刺激されて広がったり、他の場所へ飛んで転移したりする可能性もあるため、夜は患部を触れないようにロンパースを着せて寝かせていました。

愛犬の体に腫瘍は次々と。断尾の決断

毎日のお薬はかぼちゃやお芋に埋め込んであげていました。幸い食いしん坊ではあったため、朝起きてのお薬の時間はキナの毎日のルーティーンの中で楽しみの1つにもなっていました。

ある日、尻尾の真ん中あたりにタコのような皮膚の硬いところを発見しました。

病院で診ていただくと、表皮が硬くなった良性のできものだということがわかり、特に生活に支障は無かったのでそのまま経過を見ることにしました。

そのできものが、あれよあれよと大きくなり始めて、尻尾を振った時に壁に当たることで出血をし始めました。

愛嬌の良いキナの、ブンブンと振る尻尾を制御することはできず、「生活に支障が出る腫瘍」になってしまいました。高齢になっていたので麻酔の心配はありましたが、開腹をするわけではないので思い切って断尾の手術をすることにしました。

断尾後、毛も生えそろいました

キナの場合、傷病みすることなく術後の傷の回復も順調でした。包帯を巻かれて短くなった尻尾はミニピンの尻尾のようなキュートさで、大きくゆらゆらと振っていた尻尾は、根元の方からピコピコと小刻みに振ってこれまでよりもたくさん気持ちを表してくれるようになり、キナらしいチャームポイントの1つとしてより愛おしさが増したような気がしました。

半年ほどで尻尾の毛は生えて、普段通りの生活が送れるようになりました。

病理検査の結果、できていた腫瘍はやはり悪性のものではなく、家族で一安心しました。

 

犬のリンパ腫の発症と老齢期からの2年間の抗がん剤治療

リンパ腫の発見はほんとうに些細な日常の中の出来事からでした。
 
「キナちゃん、何か首のところにありますね」
 
飼い主が毎日触っていても分からないレベルの本当に小さな顎下の膨らみでした。
 
当時ふくふくやまでメモリアルグッズの作品を作ってくれていたトリマーの方が、完成したお人形の納品に来てくれた時に発見してくれたのがきっかけでした。
 
 
大型犬には「魔の8歳」という言葉があるそうです。
人の厄年のようなもので、この年齢になるといろんな病気が出てくると言われています。

高齢になり白髪も増えました

 
キナも、老齢期の始まりと言われる8歳の前後にはいろんな病気をしました。
 
子宮蓄膿症での緊急手術、肥満細胞種というガンの発症、尻尾に大きな腫瘍ができて断尾、そして10歳の頃にはリンパ腫と診断されてしまいました。
 
詳しく検査をしてみると「リンパ腫のB細胞型」ということが分かりました。
この治療は抗がん剤をする以外の選択肢はありません。
 
これまで、ご火葬を担当してきたワンちゃんや猫ちゃんでもよく耳にしてきた「リンパ腫」。
 
発症してから亡くなるまでがとても早い場合がある、こわい病気だということは理解をしていたので、リンパ腫と分かった当時は、涙を流さずにはいられませんでした。
 
まずはリンパ腫の腫れを引くための注射をしました。
これはショック症状が出る場合があり(それで死に至る場合もあるそうです)注射後30分間は病院の駐車場で待機していてくださいと言われました。幸いショック症状は無く、その日は無事に帰宅しました。
 
ここから、2年間の長いキナの抗がん剤生活が始まります。
 
ペットの抗がん剤治療は、人のように強い抗がん剤を投与して完治を目指すものではなく、副作用が少ない範囲で投与してQOLを維持しながら寛解を目指していくのだそうです。キナは入院は性格上無理な子なので点滴での抗がん剤ではなく注射と飲み薬での抗がん剤が始まりました。
 
本来であれば1クールに決められた回数があり、1週間おきに抗がん剤を投与するのですが、体質的に白血球の数値の戻りが悪く2週間に1回の抗がん剤からスタートしました。その後、プログラム上3週間に1回、1ヶ月に1回と投与の頻度は減って行きました。
 
抗がん剤後のキナの様子はというと、少しはだるそうにはするものの、急激に元気が無くなったり寝込んだりする様子もなく数時間後にはまた元気にご飯を食べられている生活が続きました。
 
抗がん剤治療中は抵抗力も弱まっているため、狂犬病の予防接種も猶予証明を発行していただき免除をしていただいていました。

亡くなる2ヶ月前まで元気に遊んでいたキナ


キナの抗がん剤は、2年半程の間で40回近くにも及びました。本当によく頑張っていたと思います。
 
獣医さんには度々、「おそらく寛解しているだろうから抗がん剤はお休みしますか?」と聞かれていたのですが、抗がん剤を継続しているからこそ再発が抑えられているのかもしれないし、再発するかどうかは抗がん剤をやめてみないとわからないということで、月に1回だけの抗がん剤は継続することにしていました。
がん治療は病院の通院で半日はかかります。それを2年間休まず毎月通うのは、飼い主にとってもですが、犬にとっても相当な負担になっていたかもしれません。それでもがんに負けることなく、頑張って通い続けてくれたキナに感謝しかありません。
 
https://fukufukuyama-petsougi.com/flower-ceremony-mydog

愛犬のためのベストな選択は? 目の前の病気に囚われず段階的手段を

今はSNSで#(ハッシュタグ)をつけて病名を検索したり、ネットで病名を検索すると本当にたくさんの情報が出てきます。

私もたくさんの情報を参考にしました。時には意見の違う情報に迷ったり、「もしかしたらこれが効くのかも?」と民間療法に頼りたくなったりする時もありました。

「今この病気をなんとかしなきゃ!」と思うと、どうしてもその病気にだけ注目して解決方法を模索してしまいます。でも、その子の生涯全体を通して「今この選択をするべきなのか?」というのを広い視点で見ることも必要だと感じました。

私はいつも、キナの治療をするためには「いろんなカード(切り札・手段)を準備しておこう」と意識をしていました。「まずはこれを選択してみるけれど、ダメだったらこの方法、次にダメだったらこの方法」と段階的に選択をしていくことで、身体の負担が少ないものから治療にトライをして、それで体調がキープできれば最高、もしそれで効果が得られなければ次のカードをと。

初めから選択肢を狭めずにトライできることはトライをしていく。病気が進行してしまえば、結局のところ選択肢はどんどん狭まっていくのです。

キナの生涯を通して、1つ1つの選択が本当に正しかったかはわかりません。でも、自己満足かもしれませんが、ベストを尽くすことはできたのではないかなと思います。

いろんな病院にかかったり、薬やサプリメントを飲ませ続けることで、現実にお金はかなりかかりました。ただ、キナにいろんな治療の手段を準備しておくことができるように、それをいつでも選択できるように準備しておくためと思うと、何も苦ではありませんでした。

一緒に人生を歩む決意をしてから、たくさんの思い出を作って、いっぱい笑って、そして一緒に病気と闘って後悔なくいられるように頑張ってくれたキナは、生涯をかけて私たち家族に最高の幸せをプレゼントしてくれたと思っています。

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