役立つペットコラム

犬の子宮蓄膿症の原因や治療法【実際の愛犬の症状から回復まで解説】

我が家の愛犬・ゴールデンレトリーバーのキナ。2012年1月29日生まれの女の子でした。

その子が6歳の時に、突如、子宮蓄膿症と診断されて緊急手術を行いました。

予防に努めながら、早期発見ができるように定期的に検査をしていましたが避けられなかった子宮蓄膿症の発症。

犬の子宮蓄膿症に関する概要を含めて、我が家の愛犬の体験記をまとめました。

犬の子宮蓄膿症とはどんな病気?なりやすい年齢や犬種

子宮蓄膿症とは、名前の通り子宮の中に膿が蓄えられてしまう病気です。

人の場合は子宮留膿症という病気が近いのだそうです。

子宮の中に膿が溜まると、細菌毒の影響でショック症状を起こしたり、大量に溜まった膿で子宮破裂を起こしたりすることがあるそうです。子宮破裂によって腹膜内に汚染が広がると、状況は大変深刻になります。最悪の場合には命を落とすこともあります。

我が家の愛犬は子宮破裂を起こす前に発見しました。

避妊手術をしていない雌犬がかかりやすい病気で、避妊手術として子宮や卵巣を摘出していれば、膿が溜まる子宮自体がないのでかかる病気ではありません。

ペットを家に迎え入れるときに、性別や犬種によってかかりやすい病気の説明がある場合も多いかと思います。

この子宮蓄膿症も、性別がメスの場合にはよく見られる疾病として注意喚起がある病気です。

子宮蓄膿症の発症を未然に防ぐには、避妊手術が第一選択となります。

発症は、発情を終えてからの未避妊のメスの内で罹患する可能性が徐々に上がっていき、高齢になるに伴ってそのリスクは高くなります。

出産の経験がない”未経産”の犬は、5歳以上からかかりやすくなるそうです。

特にこの犬種だからなりやすいという資料はあまりなく、私が旅立ちのお手伝いをしていても小型犬から大型犬、純血種やミックス犬に関わらず子宮蓄膿症で手術をしたというお話はよく伺います。

愛犬のキナも発情を終えた未経産で、6歳の時に発症しました。一般的に言われている傾向に則している発症でした。

犬の子宮蓄膿症についての記事を読み漁る日々

キナは未経産で未避妊ということもあり、子宮蓄膿症のリスクや可能性があることは承知の上で里親として引き取りました。

他の犬に興味を示す子かどうか、それによっては今後仔犬を産ませる可能性の有無などわからないことも多かったのと、以前飼っていたゴールデンは男の子でしたが、去勢をせずに一生を終えたこともあり「可能な限り自然な形で健康でいられれば」という思いで、引き取ってすぐの避妊手術はしませんでした。

当然、性成熟をした後なので10ヶ月に1回くらいの頻度で生理が来ました。おむつをしたり、外にあまり出られなかったりと不自由もあり、特に夏の時期のおむつは暑い中で不便をしたと思います。ですが、家族で生理の時期のケアは十分にできるということで、生理が大変だから避妊手術をするという選択にはなりませんでした。

細菌の感染症が原因と言われる子宮蓄膿症。大腸菌などの細菌が増殖が原因とされています。

「では、どんな条件が揃うと子宮蓄膿症になるの?」という素朴な疑問から、ネットでいろんな記事を読み漁りました。なにか未然に防ぐ為の成す術がないかと情報を集めました。

細菌感染するのなら、排泄のあとの消毒をしたほうがいいのかな?

大腸菌が原因なら、メス犬の場合は肛門と膣が近いから、うんちのあとにお尻を綺麗にしていたら大丈夫かな?

免疫力を上げていればかかりにくいかな?

など、素人ながらいろいろと考えて調べてはいましたが、その日は突然やってきました。

子宮蓄膿症という厄介な病気。原因と予防方法

メスのワンちゃん(猫ちゃんもかかります)に発症リスクがある子宮蓄膿症。

主に細菌感染が原因で、子宮内に膿がたまることで発症すると言われています。

予防方法の第一選択は外科的手術で子宮を取ってしまうこと。これを行えば、生涯の中での罹患リスクはほぼ無くなります。

他の予防方法としては、その子自体の免疫力を上げていくことではありますが、様々な感染の条件や度合い、その子の体質や体調などによって発症が避けられないこともあります。

一方で、予防のための避妊手術は全身麻酔で行われるので、麻酔のリスクもあります。

実際に、お見送りの仕事をする中で、避妊手術の麻酔が身体に合わずに亡くなってしまった子や、避妊手術後に下半身付随になって若い時から介護生活だった子のお話を伺うこともあり、病気の予防のためとは言え、リスクも伴うのだなと思いました。

私たち家族は、予防の1つとして定期的に超音波検査でお腹のエコー写真を撮ってもらい、身体の状態を把握するとともに、万一の時に早期発見で対応できるようにしようということにしていました。

子宮蓄膿症になったらどんな症状が出る?そのときの治療法

一般的に子宮蓄膿症になると、多飲多尿、食欲不振や吐き気、元気消失、発熱、腹部が張るなどの症状が出ると言われ、陰部を気にして舐めるなど行動にも現れる場合があります。 陰部から膿や出血が見られることもあります。

キナの場合、子宮蓄膿症を発見する前から、しょっちゅう嘔吐をする子ではありました。

少しでも消化に悪いものや、ちょっと熱いものを食べたり、きのこを食べたりするとよく吐いていて、なんの予兆もなく吐くこともよくありましたので、よくあることして気づくのが遅れてしまうこともあり得ました。

だた、子宮蓄膿症と診断される直前は嘔吐だけではなく、食欲不振、元気消失、2日ほど陰部から黄色っぽい膿が出てくるということがありました。

実際に子宮蓄膿症になると、完治のためには一刻も早い外科的手術が必要になり、卵巣と子宮の両方を取る必要があります。

どうしても手術ができない状況のときには、注射による投薬で症状を和らげる方法もあるそうですが、根治の方法としては手術が必要になります。

子宮蓄膿症と併発する病気の可能性は?

子宮に膿が溜まって、それが破裂すると他の臓器(肝臓や腎臓)などにも細菌感染が起こる可能性があります。破裂した膿が全身に広がり始めると、腹膜炎や敗血症になり命にもかかわる病気です。

キナの子宮蓄膿症が発症したとき、その時の獣医師からは「子宮が破裂して腹膜まで達したら命も危ない」と言われていました。また、細菌による毒素で血栓症になると、腎不全を引き起こすこともあります。

子宮蓄膿症にならないのが一番ではありますが、もしかかったときには早期での対応が必須な病気です。

獣医師によって子宮蓄膿症の治療に違いはある?新しい治療方法は?

犬の子宮蓄膿症の治療方法は、主に外科的手術での子宮と卵巣の摘出と、内科的な抗生剤(抗生物質)の投薬治療があるそうです。

ただし、抗生剤による投薬治療は年齢や体質、基礎疾患など、その動物によって手術が難しいなど、どうしても避妊手術が受けられない時に採用される方法で、投薬により完治するわけではなく子宮も卵巣も残っているので常に再発が起こり得るリスクが伴います。

最近では、ペットの針や灸、漢方などの東洋医学を積極的に行う病院も徐々に出てきています。

ネットで調べる情報によっては、手術なしで漢方薬で子宮蓄膿症の症状が緩和された例も出ていますが、身体に負担が少ないことが大きなメリットではあるけれど効果が出てくるのも緩やかと言われるのが一般的な東洋医学です。細菌感染と膿が溜まるスピードによっては、外科的な処置をしないと命に関わることもあります。

愛犬の子宮蓄膿症、診断から完治までの治療費

当初、大型犬・ゴールデンレトリーバーの避妊手術を行う場合には費用は5万円弱と言われました。

小型犬や猫の場合は、25,000円前後の動物病院が多いようですが、キナはゴールデンレトリーバーで体重30kg以上あった大型犬なので、避妊手術1つを取っても小型犬に比べたら高額です。

予防のために2ヶ月に1度行っていた腹部エコーの検査は、だいたい1回が5,000円くらいでした。

それを、4歳になる直前に我が家に来てから6歳で発症するまで、12回ほど行ってきたという計算になります。

予防としての避妊手術ではなく、治療としての外科的な手術となると金額もさらに大きくなります。

キナの場合、子宮蓄膿症の手術費用は13万円くらいでした(保険が利いた話は次の項目で)。ケージの中で相当暴れたようで、入院は不可能ということでその後は通院で経過観察を行い、約1週間後に抜糸を行いました。その都度5,000円位の医療費がかかっていたと思います。入院もしていたらもっとかかっていたでしょう。

生涯のうちで未避妊で子宮蓄膿症にならずに一生を終えられる子もいますし、予防が必要なのか、治療が必要になるのか、何もしなくても良いのかは誰にもわかりません。

家族でよく相談をして、その子と家族にとってのベストを悩みながら選んでいくのが、ペットと暮らすということなのだと思いました。

ペット保険は使える?犬が子宮蓄膿症になったら

子宮蓄膿症での手術や治療は、多くのペット保険会社で補償の対象となる場合が多いようです。

実際、キナもアイペットのうちの子という保険に入っていましたが、手術費用が9万円ほど補償されて、実際の負担額は手術そのものは4万円ほどでした。

一方で、避妊や去勢手術などの各疾病の「予防」の観点から行う手術はペット保険で補償されない場合も多いようです。

ペット保険に加入するかどうか、加入を生涯継続するかどうか(あまり病気にかからないから途中で解約すると言う方もいます)、もしくは保険に入る予定がないので初めに疾病のリスクは取り除いておこうとするのかなど、家族によって考え方は様々だと思います。

現在は、本当にたくさんの会社がペット保険の商品を取り扱っています。

20年前に迎えたゴールデンの時にはペット保険がまだ珍しかったのですが、

今は楽天ペット保険、PS保険、SBI保険などたくさんのペット保険があります(2024年現在)。

それぞれ掛け金や補償内容、加入条件が異なります。

キナの場合、高齢になってからのペット保険料は年間16万円くらいと高額でしたが、キナは一生涯で病気が割と多い子だったのと、大型犬で何においても治療が高額になる傾向があったので、ペット保険に入っていて良かったと思う場面が多かったと思います。

子宮蓄膿症の手術の時も然り、ペット保険にはとてもお世話になりました。

我が家の愛犬・ゴールデンレトリーバーの子宮蓄膿症完治までの道のり

キナは成犬になってから里子として引き取り、その時には避妊手術がされていませんでした。

家族にとっては初めての雌犬ということもあり、当時のかかりつけの獣医さんからは子宮蓄膿症のリスクや予防のための避妊手術の提案もしていただきましたが、もしかしたら発症をしないで済むかもしれない可能性も捨て切れず、家族で話し合って「月に1回を目安に超音波検査をして、子宮蓄膿症が発症したら早期で対応できるようにしていこう」ということになりました。

2ヶ月に1回程、病院に行くと超音波検査(エコー)をして、「子宮は腫れていないですね」と診ていただくのが続きました。

しかし2018年2月、6歳になって間も無くのことでした。

食いしん坊なキナが、私達飼い主がお菓子を食べていても寄ってきません。手足も冷えていて、体温が低下しているのがわかりました。2日ほど膣から茶色い粘液のようなものが少量排出されました。おむつを当ててみたころ、そこにも少し漏れがありました。量としては、ドロッとした分泌液がおちょこ1杯分くらいだったと思います。
もともと水はたくさん飲む子だったので、子宮蓄膿症を発症してお水を飲む量が増えたということはなかったと思います。

おやつやごはんをあげようとしても顔を背けて食べようとせず、なにか体調の危険信号を出しているのだと察知しました。

翌日急いで病院に行って診ていただいたところ、子宮がパンパンに腫れていることが分かり緊急手術となりました。

子宮に溜まった膿が外に出て腹膜まで届いてしまうと死のリスクもあります。手術以外の選択肢はとうにありませんでした。

その日取り出されたキナの子宮と卵巣を見せていただきました。レジの袋詰め台によくあるロール状のビニール袋のような袋にパンパンに入った子宮と卵巣。「取ってすぐ冷凍したので、これでも少し水分が抜けて小さくなったんですよ。」と先生がおっしゃいました。

子宮蓄膿症完治後

子宮蓄膿症完治後のキナ

緊急の手術のおかげで一命を取り留めたキナ。麻酔が解けてから入院のゲージの中で大暴れをしたそうで、「この子は入院は無理ですね(笑)」と先生から連絡があり、迎えに行くまでの間は看護師さんたちが交代で愛犬を膝枕しながらなだめてくれていたそうです。

夜中に痛み止めが切れた頃に何度が「ピーピー」と鼻を鳴らしましたが、その後は落ち着いて翌日には犬用のチュールやソフトクリームなどの柔らかいものを食べて、術後の経過も良く、後日順調に抜糸をして完治となりました。

手術のために剃られたお腹も、半年後くらいにはまた毛も綺麗に生えそろいました。

手術を行う前は、よく何か小さなきっかけで嘔吐をする子でしたが、手術を行なってからはほとんど嘔吐をしなくなりました。子宮があるよりも、 無い方がキナにとっては体調が良かったのかもしれません。

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