私が愛犬のゴールデンレトリバーを亡くした時の話です。
亡くなった後、家族で相談して車で30分程の山の上にある地元のペット火葬場に火葬をお願いすることにしました。
ペット火葬場は、地元では昔からやっているところだったという理由でそこに決めました。
身体も大きかったため、愛犬は大きな敷布でくるんで父と兄が抱えて車に乗せ、家族みんなで火葬場に向かいました。
家族がそろったその日の朝に電話をして火葬を申し込むと、「今日はたくさん予約が入っているので、16時からいらしてください。」と案内されました。
電話してすぐに出発できるものだと思っていたのですが、朝から夕方まで待つ時間がだいぶあったため、
家族皆何も手につかず、ただぼっーと外を眺めたり愛犬のそばに居たりしながら時間を過ごしました。
今思えば、出発までの間ゆっくりお別れもできてよかったと思っていますが、亡くなってからすぐに予約をしておけばスムーズで良かったのかも・・・とも思いました。
とまらない涙…
向かったペット火葬場は読経をしてくれるところで、愛犬を紙製の棺に入れてくれて、持って行ったおやつを一緒に棺に納めました。
読経が終わると火葬炉に棺ごと運びました。設置型の大型犬対応の大きな火葬炉でした。
生前の姿との別れだと思うと涙が止まりませんでした。
火葬炉の扉が閉められ、火葬が始まり、私達家族は事務所兼待合室のような一画で待つことにしました。
時間にして約3時間。その日は火葬が立てこんで、炉が冷めるまで時間がかかっていたようで、冷却のための時間が長いという説明を受けました。
待っている間、ペット火葬場の方がよく話しかけてくださいました。
悲しみに暮れさせないための配慮だったのかな、とも思いますが、当時は「今は誰ともしゃべりたくないのに」と感じたのが本音です。
しばらくして案内され、開いた火葬炉のそばにみんなで向かいました。
16年間を生き抜いた愛犬の骨が残り、肉体は綺麗に焼かれていました。お骨を見てまた涙がこみ上げてきました。
お骨はすでに火葬場の方が一か所に集めて寄せていました。
家族はそこから箸で拾い、拾いあげたお骨を見て、火葬場の方がその都度「そこは顎の骨ね。」「そこは大腿骨ね。」と説明をしていました。
拾骨した骨は準備してくださっていた布製の骨袋に入れて持ち帰りました。
心残りの出来事
気持ちも少し落ち着いてきたときに、母が、
「あの時には気が動転していて、お花を一緒に持たせてあげるのを忘れてしまった。」と言っていました。
それからもう一つ、お骨上げをしに行ったとき、骨が一か所にザッーと全部寄せ集められていて、もう少し大切に扱ってもらえたらと感じたそうです。
「粉々になってしまっていて、それが悲しかったな。」とつぶやいていました。
初めて飼った犬で、初めての見送り、初めてのペット火葬。
ペットを見送った人は、「うちに来て幸せだったかな?」「あの時こうしてあげればよかったかな」「最期は苦しまなかったかな?」
と誰しも心の中に疑問や後悔が渦巻いています。
わからないことだらけの中で頼りにするのは、火葬業者の方でした。
ですが、飼い主の立場になって考えて、そのような心境の中で愛犬の見送りに悔いが残らないようにすることはとても難しいことなんだと気付かされました。
あの時もし私が「お花も一緒にいれてあげよう」という一言さえあれば、母の後悔も無かったのかも知れないと思うと、私まで後悔が残りました。
愛犬を失った悲しみを飼い主以外の方がすべて理解することは難しいのかもしれませんが、
悲しみに寄り添うことはできるかもしれません。
悲しみのどん底にいる飼い主にとって必要なのは、優しい気持ちとそれに添えられた一言で良いのかもしれません。
人の考え方や捉え方がそれぞれ違うように、同じ火葬業者様でも私のような感じ方をしない方もいらっしゃいます。
後悔が残るお別れとなってしまいましたが、あのときの火葬業者の方には、忙しいにも関わらず快く対応していただけたことに関して心から感謝をしています。
後悔しない見送りのために
その愛犬との別れはたった一度しかありません。もし、このコラムをここまで読んでいただいているのであれば、ぜひあなた自身が後悔しないために、理想のお別れの仕方を考えてみることをお勧めします。
各ペット火葬業者もお客様の立場に立ち、それぞれが火葬のサービスやセレモニー、納骨に関するアドバイスの方針をもっていますので、お別れのための参考にするのもいいでしょう。しかし、最終的に大切なのは”ご家族の気持ち”です。
生前の姿との最後の別れの前に、納棺する際に、心残りが無いようにしていただきたいです。
例えば、
- 火葬する前に、毛を少しとっておく
- 肉球の跡をスタンプしてカードに残しておく
- お花やおやつ、思い出の品を一緒に納棺する
- お手紙を一緒に棺に入れる
など、様々な方法があるでしょう。
また、火葬後のご遺骨はどのように取り扱うのかについても、ご家族とご相談しておくのがいいかもしれません。
ご遺骨は
- ご家族が縁のあるお寺さんに、ペットの納骨について伺っておく
- 四十九日や命日を目安に、ペット霊園や納骨堂等に納める
- ご自宅のお庭に埋葬する
- パウダー化して海洋に散骨する
- 引っ越しなどが多い方ので、落ち着くまではずっと手元に置いておく
など、いろいろな方法でご遺骨を保管されているかたがいらっしゃいます。
ペットの場合、どれが正しくて、どれが間違えているということはありません。
ご家族の皆様が納得のいく形でお見送りをするのが、本当の意味でのご供養になると私は考えております。
ふくふくやま 丸山 由
家庭が生まれつき不仲で、家から逃げる唯一の方法として死ぬ気で勉強して北海道へ進学し、大学3年のとき、とっても元気なミニウサギと出会い、この子だ、と思い、飼い始めました。
それからもう11歳も長生きしてくれています。
次第に飛び跳ねなくなり、そして目やにが出るようになり、食欲が落ちて眠る時間が多くなり……
飼う前に熟読した飼育本そのままの老化があり、葬儀代の積立をしていました。
そこで、別のペット葬儀屋さんの料金がよくわからなかったため、直接お電話したのですが、逆に傷つく対応を頂いてしまって。
途方に暮れながら検索していたら、ふくふくやまさんに辿り着きました。
なんと、ふくふくやまさんのスタッフさんご自身が、ご葬儀のときの心境や様子、心残りなどをコラムに執筆していらっしゃる。
お骨のカビのトラブルケアまでご提示していらっしゃる。
「ここだ!こんなにうちの子に良くしてくれるなら、むしろお金を払いたい!老後を安心して過ごさせてあげたい!」と、ぱあっと希望の光が見え、サイトを拝見しながら、涙が止まりませんでした。
本当に飼い主としての気持ちもお持ちで、動物と飼い主すべてに寄り添っていらっしゃるのですね。
本当に、本当にありがとうございます。
まだうちの子は元気そうですが、
うちの子は本当に明るい子なので、
明るい旅路のために、いずれお世話になろうと思います。
感謝の言葉がなかなか見つかりません。
ただただ、悲しいだけ、無機質なだけでないお別れのご方針、ありがとうございます。